眼内レンズとは白内障手術時に取り出した水晶体の代わりとなる人工の水晶体です。
眼内レンズには「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2種類があります。
通常の白内障手術に際して移植される眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」です。単焦点眼内レンズを用いても手術前に比べれば大幅な改善が得られますが、ピントの合う範囲が遠方か近方のいずれかに限られているため、遠方か近方を見る時のどちらかは眼鏡が必要となります。これに対し「多焦点眼内レンズ」では遠方と近方の両方にピントがあうため眼鏡への依存を減らすことができます。
多焦点眼内レンズ | 単焦点眼内レンズ | |
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長所 |
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短所 |
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適した人 |
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現在多焦点眼内レンズには以下の種類があり、一人一人の患者さまのライフスタイルに合わせてお選びいただくことができます。
2焦点型多焦点レンズ | 遠方と近方の2箇所にピントが合うレンズです。 近方は約30cm、40cm、50cmの3種類から選べます。 1m程度の中間距離はやや見にくくなります。 |
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3焦点型多焦点レンズ | 遠方から近方約40cmまでがほぼ鮮明に見えるレンズです。 2焦点レンズに比べて夜間の光のにじみがやや強くなります。 |
焦点深度拡張型多焦点レンズ | 遠方から近方約70cmまでがほぼ鮮明に見えるレンズです。 30-40cmの距離のものを見る時には眼鏡が必要な可能性が高くなります。 |
※乱視が強い人には、それぞれのレンズで乱視矯正用レンズが選択可能です。
多焦点眼内レンズの見え方になじんで視力が安定するまでには、個人差がありますが数週間〜数ヶ月を要する場合があります。
眼内レンズには種々の度数があり、術前検査の結果に基づいて各人に応じた度数のレンズを計算して選定します。ただし人間の眼は機械ではありませんので、まれに計算と実際の結果が一致しないことがあり、その場合は眼内レンズ交換等の再手術により修正が必要な場合があります。
令和2年4月より、術後の眼鏡装用率の軽減を目的とした多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。
当院は多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を行う医療機関として厚生労働省に届出をしています。
選定療養とは、患者さんご自身が選択して受ける追加的な医療サービスで、追加分の費用は全額自己負担となります。
追加分の費用は、患者さん毎に用いる眼内レンズの種類によって異なります。診察時に説明いたします。